知識探偵クエビコ

人類史・古代史・神話の謎を探ったり、迷宮に迷い込んだり……

日本の人口の変遷 ――論文を読む前に知るべき島根県の特殊さ――

島根県を扱ってる日本の全染色体分析論文を紹介したい。 しかしその前に、論文には言及がないが、日本の人口の変遷やっておきたい。これはどうしても必要な知識なのだ。 中国の人口の変遷はやったわけで、日本の人口変遷もやっておく必要性を感じたわけです…

twitter始めました(試験運用中)

ちょっとだけ反応したいニュースのためなどに、このブログの公式的なtwitterを始めました。 https://twitter.com/Kuyebiko_light これは分野限定だけれど個人的なニュースメモでもある。コメントを付け加えない場合も多いです。負担無く気軽にやりたい。 不…

ネアンデルタール人は「芸術家」だった? 世界最古の洞窟壁画+α

このニュース。 (CNN) 世界最古の洞窟壁画を描いたのはネアンデルタール人で、身体装飾として貝殻を身に着けていた。研究チームの論文が22日付の米科学誌サイエンスで発表された。いずれの行動も、ネアンデルタール人が象徴的な思考を持ち、現生人類…

1万年前の英国人、褐色の肌に青い瞳 現代欧州の10人に1人とつながり

ちょっと前のニュースを、重点の異なる記事で。 最先端の科学分析によって、1万年前の英国人が褐色の肌と青い瞳の持ち主だったことが明らかになった。現代欧州人の10人に1人が、この時期の狩猟民とDNA的につながると言われている。ロンドンの自然史博物館と…

マレーシアで未知の言語発見

サプライズのあったニュースを。 次のニュースの面白いところは、あくまでも、発見されたのは「言語」であって、「民族」ではないこと。 既に知られた人々を調査してたら、実は知らない言語を話してたわけだ。 スウェーデン・ルンド大学(Lund University)…

アフリカ以外で最古の現生人類化石、イスラエルで発掘

出アフリカ関係のニュースです。 www.afpbb.com 【1月26日 AFP】アフリカ以外で最古の現生人類化石がイスラエルで発掘された。現生人類がアフリカを出て移住した「出アフリカ」の時期をめぐっては、過去の遺伝学的研究で従来考えられていたより約5万年早かっ…

『核DNA解析でたどる日本人の源流』斎藤成也

遅ればせながら。 出てることに気づいた瞬間に売り切れてた。つまり出版社の予想より売れたわけだ。 核DNA解析でたどる 日本人の源流 作者: 斎藤成也 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2017/10/21 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブ…

中国古代文明側の可能性追求――遼寧省錦州市のY染色体ハプログループC1a1の由来はどこにある?

つづきを予告していた記事です。 「Liaoningさんと東京の4人との分岐年代は5500年以上前を示唆するか*1」ということになると――その約5500年前あたりにC1a1が中国側から日本へ渡来した/中国側のどこかでC1a1が分岐した可能性はあり得るのか? なお今回の記事…

アンダマン諸島のY染色体ハプログループD系統の解析

前回の最後に書いた事の答えは、タイトルの通り。 2018/4/3追記。Y-Full見たら、日本のD-M64.1の前側にアンダマン諸島の方々が来てた。ということは、今後日本のD1b-M64.1は、少なくとも一つ伸びてD1b1かD1b2ぐらいになるでしょう。 Y-FullでDの分岐の根元に…

ニュース:現生人類、「出アフリカ」は一度だけではなく、約12万年前から始まっている

少し遅れたけど、わかり始めてたことを、現時点で学者がまとめた研究報告のニュースです。 今回は、このニュースと該当論文以外の話もする。 現生人類、「出アフリカ」は一度だけではなかった 研究 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News 【12月8日 AFP】人類が…

檀石槐の倭人の話―遼寧省錦州市のY染色体ハプログループC1a1の由来はどこにある?

壱岐の原の辻遺跡で遼東系銅釧が出土し、時代も1世紀頃*1と古かった――となると、まだ正式に説明してなかったことを、ちゃんと説明・検討しておく必要があるだろう。 それは、2世紀末の鮮卑の檀石槐、『後漢書』烏桓鮮卑列傳の「倭人」千餘家の話だ。 種眾日…

ほぼ完全な弥生期の人骨出土 佐世保市・高島「宮の本遺跡」発掘調査

このニュースに反応しておこう。これも最近の海人話と無関係ではないのだ。 場所は長崎県の西海岸、九十九島の中にある高島(佐世保市高島町)の宮の本遺跡(長崎県公式・佐世保市公式に図や写真がある。縄文時代草創期から古墳時代の複合遺跡)。 ここは旧…

原の辻遺跡で国内初の遼東系銅釧(くしろ)(腕輪)が出土

関係あるかも知れないニュース。 なんと期待より少し古いお話。 長崎新聞ホームページ:【県内トピックス】原の辻で国内初の腕輪出土 (11月28日) 県埋蔵文化財センターは27日、壱岐市の国指定特別史跡「原の辻遺跡」で2007年度に発掘した青銅製品が…

Liaoningさんと東京集団の分岐年代は5500年以上前とされた―遼寧省錦州市のY染色体ハプログループC1a1の由来はどこにある?

Liaoningさんの続報(コメント欄)です。 11/19、港川人など付け加えつつ少し修正 2018/4/3現在、Y-Fullの年代は5100年(95%の確率で7100年~3600年前の間)となっています。今後も年代値は修整が入ると思っておいたほうがいいでしょう。(タイトルも過去形…

C1a1確定――遼寧省錦州市のY染色体ハプログループC1a1の由来はどこにある?

LiaoningさんのC1a1が確定し、YFullにも出ました。 YFull https://www.yfull.com/tree/C/ まだ"analysis in progress..."(分析中)ですが、これで安心して前に進めます。 YFullのC1a1にあるJPT(東京)四人分のデータを全部見つけたから、付け加えたC1a1表…

遼寧省錦州市のY染色体ハプログループC1a1の由来はどこにある?(中編補遺)

まさかの中編補遺。 liaoningさんが中編にコメントを付けてくれた。そこで、新しい時代についても追加で、考えを整理する意味もあってまとめておく。 ただし、おそらくliaoningさん(liaoningブログ参照)は新しい分岐年代ではない。 まず、常染色体を調べる…

遼寧省錦州市のY染色体ハプログループC1a1の由来はどこにある?(中編)

今回は、歴史的可能性の検証だ。 まず最初に、結論に近い衝撃的な話を先に書いてしまおう。 自分としては、このLiaoningさんの件は、後の三燕(前燕・後燕・北燕)まで含めて、鮮卑に関係している可能性は大いにある、と考える。 実はこれは、鮮卑・三燕と関…

スマトラ島でも73,000~63,000年前の化石発見――続報:ヒトが初めてオーストラリアに到達したのは約65,000年前だった

スマトラ島で重要な化石の発見があった。これは前々回のオーストラリアの発見に続くニュースでもある。 【考古学】現生人類のインドネシア到達の歴史を書き換える化石の発見 | Nature | Nature Research 現生人類がインドネシアのスマトラ島に到達したのは、…

遼寧省錦州市のY染色体ハプログループC1a1の由来はどこにある?(前編)

1.きっかけ 中国・遼寧省錦州市のLiaoningさんがY染色体を調べてC1、しかもどうもC1a1が出たようだ。 錦州市は渤海・遼東湾の北の端にある。 そして、こちらの記事にコメント付けてくれた。 Y染色体で探る日本人の起源 4-2.氷河期が終わるまでにやっ…

ヒトが初めてオーストラリアに到達したのは約65,000年前だった

出アフリカにも関わる重要なニュースです。 必ず海を越えていくことになるオーストラリア移住ルートで、いままでより古い年代が出て、またトバ・カタストロフに近づいた。 【考古学】ヒトが初めてオーストラリアに到達したのは約65,000年前だった | Nature |…

イヌは4万年前の単一起源か

イヌのニュースも反応しておこう。 結論としての意外性は(以前「オオカミ、ヒトに出会う」という記事をまとめてる自分としては)無い。また年代はあってもその場所は示さない。 しかし遺跡の骨を調べたり、データはたくさん揃えてる。(ただ、日本の犬がい…

日本人3554人のゲノムデータベース

日本人3554人のゲノムのデータベース(3.5KJPN)を、東北大学が作ったというニュースがあった。 ヒトゲノム、世界最大級のDBに 日本人特有の特徴発見:朝日新聞デジタル これはもちろん東北大学の公式プレスリリースがある。こっち読んだほうがいいで…

オーストロネシア――熱帯動植物文化の探求・聖樹カジノキ再び

次はカジノキ(Broussonetia papyrifera、クワ科*1コウゾ属。漢字で「榖」*2)の話をまたしよう。以前のカジノキ記事の続きだ。でも、ラピタ人とブタとニワトリにも触れる。 まずは、そのときの論文よりちょっとだけ前の2014年12月の論文をさらっと。 約8000…

オーストロネシア――熱帯動植物文化の探求・イネ

そろそろオーストロネシアの話に戻ろうかなと。思い出しておくと、前はこの記事(オーストロネシアの人々――謎のヌサンタオ編)だ。 文化的な話を中心に、遺伝学など他の学問も絡めてやります。 以前のイネやもっと以前のカジノキの話の続きとその他聖樹だと…

原発事故は予見できたか?

これだけはどうしても言わなければならない。 予見できなかったという考えは、完全に論理が転倒している。 一方、首藤(しゅとう)伸夫・東北大名誉教授(津波工学)は「津波が起きた後で、予見できたと言うのは簡単」と、確証を持って予見するのは難しかっ…

ミイラネタ――その後のナショナルジオグラフィック巡り

というか死体ネタというか。 少し前の物だが、遺伝子解析の、別のミイラネタを見つけた。 【遺伝】古代エジプト人のミイラのゲノム解析 | Nature Communications | Nature Research この論文の中で、Johannes Krauseたちの研究グループは、エジプト中部のア…

考古学的な遺伝証拠はどのぐらい古くまで残ってるものか?

まだ古人類学シリーズで、遺伝子証拠の可能性だとか残りやすさの話をします。 実際の考古学的遺物としての遺伝子は、どのぐらいまで古く残ってるものなのか? これも気になってた。 現在のヒトDNA最古の解読記録が、43万年前(スペイン・カルスト地形(石灰…

猿人はどこから「ヒト」なのか? (化石編後編)

今回はアウストラロピテクス以降。メインテーマは「猿人はどこからヒト属(Homo)なのか?」。 つまり――「ヒト属(Homo)の祖先はアウストラロピテクス以降のどれなのか」+「最初のヒト属はどれなのか」――が問題となる。 このヒト属こそが"human"の概念に関わる…

ネコは自ら家畜化した?

ニュースだからこちらを先に反応しておこう。 ネコのDNA研究です。「埋葬やミイラ化された古代のネコ230匹のDNAを分析した」そうで。 早速引用。(色つけは私) 原産地を出て世界に拡散した最初の野生ネコで、今日の飼いネコの祖先となったのは、リビアヤマ…

類人猿はどこから「ヒト」なのか? (化石編前編)

今回は、実は分類より先に書き始めてた化石編だ。やっぱり長いんで途中で分けよう。 次の図が、ヒト科(hominidae)以下の化石も含んだ分岐図(wikipediaより)。 ただし、まだ意見の分かれてる部分(ヒト属homoがどこから分岐したのか、など各所)も多い。自分…