知識探偵クエビコ

人類史・古代史・神話の謎を探ったり、迷宮に迷い込んだり……

人類

スマトラ島でも73,000~63,000年前の化石発見――続報:ヒトが初めてオーストラリアに到達したのは約65,000年前だった

スマトラ島で重要な化石の発見があった。これは前々回のオーストラリアの発見に続くニュースでもある。 【考古学】現生人類のインドネシア到達の歴史を書き換える化石の発見 | Nature | Nature Research 現生人類がインドネシアのスマトラ島に到達したのは、…

遼寧省錦州市のY染色体ハプログループC1の由来はどこにある?(前編)

1.きっかけ 中国・遼寧省錦州市のLiaoningさんがY染色体を調べてC1、しかもどうもC1a1が出たようだ。 錦州市は渤海・遼東湾の北の端にある。 そして、こちらの記事にコメント付けてくれた。 Y染色体で探る日本人の起源 4-2.氷河期が終わるまでにやっ…

ヒトが初めてオーストラリアに到達したのは約65,000年前だった

出アフリカにも関わる重要なニュースです。 必ず海を越えていくことになるオーストラリア移住ルートで、いままでより古い年代が出て、またトバ・カタストロフに近づいた。 【考古学】ヒトが初めてオーストラリアに到達したのは約65,000年前だった | Nature |…

オーストロネシア――熱帯動植物文化の探求・聖樹カジノキ再び

次はカジノキ(Broussonetia papyrifera、クワ科*1コウゾ属。漢字で「榖」*2)の話をまたしよう。以前のカジノキ記事の続きだ。でも、ラピタ人とブタとニワトリにも触れる。 まずは、そのときの論文よりちょっとだけ前の2014年12月の論文をさらっと。 約8000…

オーストロネシア――熱帯動植物文化の探求・イネ

そろそろオーストロネシアの話に戻ろうかなと。思い出しておくと、前はこの記事(オーストロネシアの人々――謎のヌサンタオ編)だ。 文化的な話を中心に、遺伝学など他の学問も絡めてやります。 以前のイネやもっと以前のカジノキの話の続きとその他聖樹だと…

考古学的な遺伝証拠はどのぐらい古くまで残ってるものか?

まだ古人類学シリーズで、遺伝子証拠の可能性だとか残りやすさの話をします。 実際の考古学的遺物としての遺伝子は、どのぐらいまで古く残ってるものなのか? これも気になってた。 現在のヒトDNA最古の解読記録が、43万年前(スペイン・カルスト地形(石灰…

猿人はどこから「ヒト」なのか? (化石編後編)

今回はアウストラロピテクス以降。メインテーマは「猿人はどこからヒト属(Homo)なのか?」。 つまり――「ヒト属(Homo)の祖先はアウストラロピテクス以降のどれなのか」+「最初のヒト属はどれなのか」――が問題となる。 このヒト属こそが"human"の概念に関わる…

類人猿はどこから「ヒト」なのか? (化石編前編)

今回は、実は分類より先に書き始めてた化石編だ。やっぱり長いんで途中で分けよう。 次の図が、ヒト科(hominidae)以下の化石も含んだ分岐図(wikipediaより)。 ただし、まだ意見の分かれてる部分(ヒト属homoがどこから分岐したのか、など各所)も多い。自分…

類人猿はどこから「ヒト」なのか? (分類編)

今回は、グレコピテクスのニュースの続きで、類人猿のまとめをやる。 自分もこの段階は今まで記事にしてなくて、知識のアップデートも整理もしてなかった。ちょうどいい機会だ。 ただし別のニュースが飛び込んできたから触れておこう。 今度の「人類の起源」…

類人猿グレコピテクスはヒトなのか?

類人猿グレコピテクス・フレイベルギ(Graecopithecus freybergi)は、ヒトとチンパンジーが分かれた直後の、最初の人類(ヒト)ではないのか、というニュース。 記事ではグラエコピテクス・フレイベルギ、となってるが、Graecoはグレコローマンのグレコでギ…

白保竿根田原洞穴遺跡

先島諸島・石垣島・白保竿根田原(しらほ・さおねたばる*1)洞穴遺跡(wiki・遺跡報告検索*2)のニュースには反応しておかなければならないでしょう。 やはりこのニュースは、地元の琉球新報などが詳しく、重点の違う記事が複数あった。 一番最初は、まとめ…

ニュースが溜まってた

どういう訳か、興味があったり関係あるニュースは、いくつも固まってやってくる。 いくつも溜まってしまったから、それをまとめて一気に片付けてしまおう。 まず、全部書き出しておく。 最初に、白保竿根田原(しらほさおねたばる)洞穴遺跡のニュース。 こ…

オーストロネシアの人々――謎のヌサンタオ編

今回から、太平洋とインド洋を股に掛けるオーストロネシアの人々の特集だ。 記事は何回かに適当に切り分けたいところ。 予告したチャム族の話もある。でも、話をオーストロネシア人の関係する地域全体(周辺語族も含む)に拡げよう。読んだ論文自体がそうい…

カミの遺伝学的解析――聖樹布と禁忌の民

そろそろ南方の話をしたい。そしてその流れで、以前D1b関連で見せた(この記事と別の直リンク)ADMIXTUREの説明もしよう。 しかしその前に面白い論文を紹介したい。これも南方の話だ。 今回の論文は海外の研究者が書いた物であり、日本の古代の知識には期待…

東北アジアのトナカイの民(似た名前の民族)

東北アジアやシベリアの話をいくつか書いておく。ずっと前にしてた、似た名前を持った民族、特にトナカイに関係する民族の話だ。 名前が似ていても同じ集団だとは限らない、というやつ。トナカイの話もこの同じ記事の頃から何度もしていた。 トナカイ(カリ…

アイヌADMIXTURE論文の続きと、アイヌについていろいろ

「D1bの進入ルートについて」の論文で、自分の読み込みと調査不足のため触れなかったADMIXTUREがある。 (また、今までに書いていたアイヌのY染色体ハプログループデータの比率を少し(D=87.2%が89.5%に)訂正しました。申し訳ない。*1) 問題は、どちらの図…

D1bの進入ルートについて――ADMIXTUREにも触れつつおさらい

縄文人・Y染色体ハプログループD1bが日本の南北どちらから入って来たのかについて、いくつか。 まず、今後詳しく説明する予定のADMIXTUREも、この判断と関係している。 実は、日本人と韓国人(及び漢民族など)のADMIXTUREは、違いはあるが大きな方向性は似…

三系統のY染色体ハプログループD1b+α(続き)

全体的な傾向をつかんだところで、もっと細かく地域的な傾向を見ましょう。 今回は最初から、C1a1も含めたβ版の内部比率を載せる。 ※2016/12/20 アイヌのデータを訂正。図と文章の一部も修正しました。 サンプル数がさらに少なくなるため、今回はβ版に頼らざ…

三系統のY染色体ハプログループD1b+α

D1b詳細検証 C2について書いてたら(記事、どうしても長くなるよねやっぱり)、先に確認しておきたいことがあった。 それは、「D1bの中に、北から北海道ルートで日本へ入った者たちがいるのではないか?」という問題だ。 これを検証するために、先にまたD1b…

南太平洋バヌアツとトンガ、島民の祖先はアジア人

ニュース関係は時期を外すと書く機会がなくなるから書いておこう。 __10/8、忘れてたことと修正があるんで、少し直しました。男の子と女の子で性染色体の組み合わせが違うことを書き忘れてたり。 __10/12、最後のほうに、P・C1b2aなどの出てる地域と、…

ユーラシア東部およびアメリカ先住民の移住シナリオ

忘れないうちに、この東アジアを舞台とした移住の題材を片付けないと。 この前の時は染色体全比較の地図(ADMIXTURE)出したけど、こんなサイトもある。 http://admixturemap.paintmychromosomes.com/ 元の論文は A genetic atlas of human admixture histor…

世界最古の釣り針と、名前を覚えておくべき篠遠先生

沖縄サキタリ洞の話で、 こんな記事見かけたんですが。 そんなところツッコむんだ。でも釣り針にはこんなのもあるぞ。 File:MAP Expo Maori Hameçon 13012012 04.jpg Hei matau - Wikipedia, the free encyclopedia (マオリの釣り針) でも、それよりも…… …

武器による傷のある遺跡人骨のお話

もう一つ気になったニュース。 西欧人が殺したのかと思ったら、アボリジニ同士の争いではないかというお話。 これ読んで、思い出した日本の論文がある。 受傷人骨からみた縄文の争い http://r-cube.ritsumei.ac.jp/handle/10367/5261 まるで科捜研のようで面…

沖縄ルート続き

昨日の記事の後で気がついたことがあるんで続き。 沖縄の遺跡は、その年代に断絶があることを思い出したのよ。 沖縄県の歴史#先史時代 - Wikipedia 港川人の年代から、続く貝塚時代までの約1万2000年間の遺跡はほとんど発見されておらず、長らく空白期とされ…

日本人祖先の航海再現 沖縄ルート検証へ

またニュース。 日本人祖先の航海再現 「沖縄ルート」検証へ国立科学博物館が計画 http://mainichi.jp/articles/20160922/ddm/016/040/002000c また、やるってことです。 以前「失敗」したときは、どうなるんだと思ってるうちに書くタイミングを無くしてしま…

ニュース2:世界最古の釣り針、沖縄の洞窟で発見

今度は沖縄のサキタリ洞窟から出た世界最古の釣り針。 英語のタイトルは、World's oldest fish hooks found in Japanese island cave. 論文、探してますぜ。 タイトルにされてるのは、この遺跡がより古くまで(35000年から30000年前)遡って、航海技術の証拠…

ニュース1:8300年前の埋葬人骨を発掘 縄文人の生活実態解明へ

今「Y染色体中国出したし他も出さなきゃ」と思って準備しつつ、同時にいくつかの記事を書いてる。 そこに、またも無関係でない二つのニュースがありました。 まず最初。 こないだ記事にしたニュースと違って、今度は山の縄文人(縄文早期)で、DNA分析する…

モンゴロイド学説は公式に否定されなければならない

Y染色体ハプログループにおいて、日本とモンゴルなど(アルタイやバイカル湖周辺なども含む)の間で共通性を持っていて、モンゴロイドと関係すると考えられるのが、C2系統だった。 Dも可能性はあったが、結局モンゴルから中央アジアの領域には、日本のD1b…

「日本人のDNA、縄文人から12%受け継ぐ」というニュースについて

これ、思いっきり今書いてる内容と関係するところがある。 論文もサプルメントもちゃんと読んで、しかもいくつか調べなきゃならないこともあった。 まあ、よくあることだが、ニュースは、書いた記者の主観が入ってて、元と違ってる。 プレスリリースも論文も…

分岐年代でわかるY染色体ハプログループC

Y染色体ハプログループCの、分岐図と、年代と、それぞれのいる場所 ここで参考にしたのは……(2016/8/5付け、ということにしておく。書いてるうちに更新されて困ったわ) ISOGGの表、およびこの真ん中あたりにある地理分布(Geographical distribution)と、少…