知識探偵クエビコ

人類史・古代史・神話の謎を探ったり、迷宮に迷い込んだり……

日本人

遼寧省錦州市のY染色体ハプログループC1の由来はどこにある?(前編)

1.きっかけ 中国・遼寧省錦州市のLiaoningさんがY染色体を調べてC1、しかもどうもC1a1が出たようだ。 錦州市は渤海・遼東湾の北の端にある。 そして、こちらの記事にコメント付けてくれた。 Y染色体で探る日本人の起源 4-2.氷河期が終わるまでにやっ…

日本人3554人のゲノムデータベース

日本人3554人のゲノムのデータベース(3.5KJPN)を、東北大学が作ったというニュースがあった。 ヒトゲノム、世界最大級のDBに 日本人特有の特徴発見:朝日新聞デジタル これはもちろん東北大学の公式プレスリリースがある。こっち読んだほうがいいで…

松帆銅鐸の年代

松帆銅鐸には反応せねばなるまい。 ただし、問題点を指摘させていただく。 7個の銅鐸のうち3個と、その内部につられていた「舌(ぜつ)」2本に付着していた植物片8点を、専門業者に依頼して分析。このうち4号銅鐸とその舌から採取された4点が紀元前4…

白保竿根田原洞穴遺跡

先島諸島・石垣島・白保竿根田原(しらほ・さおねたばる*1)洞穴遺跡(wiki・遺跡報告検索*2)のニュースには反応しておかなければならないでしょう。 やはりこのニュースは、地元の琉球新報などが詳しく、重点の違う記事が複数あった。 一番最初は、まとめ…

ニュースが溜まってた

どういう訳か、興味があったり関係あるニュースは、いくつも固まってやってくる。 いくつも溜まってしまったから、それをまとめて一気に片付けてしまおう。 まず、全部書き出しておく。 最初に、白保竿根田原(しらほさおねたばる)洞穴遺跡のニュース。 こ…

朝夕の太陽祭祀・天変地異(淡路島舟木遺跡)

以前気になったニュース、舟木遺跡の話から。 wikipedia淡路島 淡路島北部にある、弥生時代後期~末期(1世紀~3世紀初頭)の舟木遺跡。(googleマップ) 淡路はアワ路(コトバンク。wikipedia)でもあり、国産み神話で重要な位置付けにある場所でもある。…

カミの遺伝学的解析――聖樹布と禁忌の民

そろそろ南方の話をしたい。そしてその流れで、以前D1b関連で見せた(この記事と別の直リンク)ADMIXTUREの説明もしよう。 しかしその前に面白い論文を紹介したい。これも南方の話だ。 今回の論文は海外の研究者が書いた物であり、日本の古代の知識には期待…

“ニッポン”古代人のこころと文明に迫る

見ましたか? NHKザ・プレミアム 英雄たちの選択新春SP▽“ニッポン”古代人のこころと文明に迫る 卑弥呼や古墳や銅鐸や、青谷上寺地遺跡とか蘇我氏のお話。 卑弥呼ネタ、実は今まであんまり深入りしないようにしてたんですが、今回は番組に合わせて、ちょっと…

アイヌADMIXTURE論文の続きと、アイヌについていろいろ

「D1bの進入ルートについて」の論文で、自分の読み込みと調査不足のため触れなかったADMIXTUREがある。 (また、今までに書いていたアイヌのY染色体ハプログループデータの比率を少し(D=87.2%が89.5%に)訂正しました。申し訳ない。*1) 問題は、どちらの図…

「日本列島人形成の三段階渡来モデル」について

前回の最後で、渡来民を二段階に分ける説が出てるという話をした。 なお、今回の記事タイトルの三段階は、この新しい渡来民の二段階に、旧石器時代の最初の頃の渡来を一段階目に数えている。だから、合わせて三段階。 部分的には異なるが、大きな方向性はこ…

意外な出雲データと、文化の変移のお話

斎藤研究室の2016年の論文に、出雲のゲノムを解析したPCA(Principal Component Analysis.主成分分析)の画像があった。 Language diversity of the Japanese Archipelago and its relationship with human DNA diversity.(pdf) 意外にも、出雲の人々のほうが…

D1bの進入ルートについて――ADMIXTUREにも触れつつおさらい

縄文人・Y染色体ハプログループD1bが日本の南北どちらから入って来たのかについて、いくつか。 まず、今後詳しく説明する予定のADMIXTUREも、この判断と関係している。 実は、日本人と韓国人(及び漢民族など)のADMIXTUREは、違いはあるが大きな方向性は似…

術式の論理――祟りに対する怖れと、祭祀に対する信頼

前回は、歴史記録の記述、及び、祭祀の問題に踏み込んだため、付け足し。 遺伝学とか生物学じゃないから、基礎的なところは説明が必要だ。 祭祀とか、呪術的宗教的な儀式には、もちろんそれぞれの論理がある。 その術式の論理を踏み外すような想定は、やはり…

三系統のY染色体ハプログループD1b+α(続き)

全体的な傾向をつかんだところで、もっと細かく地域的な傾向を見ましょう。 今回は最初から、C1a1も含めたβ版の内部比率を載せる。 ※2016/12/20 アイヌのデータを訂正。図と文章の一部も修正しました。 サンプル数がさらに少なくなるため、今回はβ版に頼らざ…

三系統のY染色体ハプログループD1b+α

D1b詳細検証 C2について書いてたら(記事、どうしても長くなるよねやっぱり)、先に確認しておきたいことがあった。 それは、「D1bの中に、北から北海道ルートで日本へ入った者たちがいるのではないか?」という問題だ。 これを検証するために、先にまたD1b…

ユーラシア東部およびアメリカ先住民の移住シナリオ

忘れないうちに、この東アジアを舞台とした移住の題材を片付けないと。 この前の時は染色体全比較の地図(ADMIXTURE)出したけど、こんなサイトもある。 http://admixturemap.paintmychromosomes.com/ 元の論文は A genetic atlas of human admixture histor…

世界最古の釣り針と、名前を覚えておくべき篠遠先生

沖縄サキタリ洞の話で、 こんな記事見かけたんですが。 そんなところツッコむんだ。でも釣り針にはこんなのもあるぞ。 File:MAP Expo Maori Hameçon 13012012 04.jpg Hei matau - Wikipedia, the free encyclopedia (マオリの釣り針) でも、それよりも…… …

武器による傷のある遺跡人骨のお話

もう一つ気になったニュース。 西欧人が殺したのかと思ったら、アボリジニ同士の争いではないかというお話。 これ読んで、思い出した日本の論文がある。 受傷人骨からみた縄文の争い http://r-cube.ritsumei.ac.jp/handle/10367/5261 まるで科捜研のようで面…

沖縄ルート続き

昨日の記事の後で気がついたことがあるんで続き。 沖縄の遺跡は、その年代に断絶があることを思い出したのよ。 沖縄県の歴史#先史時代 - Wikipedia 港川人の年代から、続く貝塚時代までの約1万2000年間の遺跡はほとんど発見されておらず、長らく空白期とされ…

日本人祖先の航海再現 沖縄ルート検証へ

またニュース。 日本人祖先の航海再現 「沖縄ルート」検証へ国立科学博物館が計画 http://mainichi.jp/articles/20160922/ddm/016/040/002000c また、やるってことです。 以前「失敗」したときは、どうなるんだと思ってるうちに書くタイミングを無くしてしま…

ニュース2:世界最古の釣り針、沖縄の洞窟で発見

今度は沖縄のサキタリ洞窟から出た世界最古の釣り針。 英語のタイトルは、World's oldest fish hooks found in Japanese island cave. 論文、探してますぜ。 タイトルにされてるのは、この遺跡がより古くまで(35000年から30000年前)遡って、航海技術の証拠…

ニュース1:8300年前の埋葬人骨を発掘 縄文人の生活実態解明へ

今「Y染色体中国出したし他も出さなきゃ」と思って準備しつつ、同時にいくつかの記事を書いてる。 そこに、またも無関係でない二つのニュースがありました。 まず最初。 こないだ記事にしたニュースと違って、今度は山の縄文人(縄文早期)で、DNA分析する…

モンゴロイド学説は公式に否定されなければならない

Y染色体ハプログループにおいて、日本とモンゴルなど(アルタイやバイカル湖周辺なども含む)の間で共通性を持っていて、モンゴロイドと関係すると考えられるのが、C2系統だった。 Dも可能性はあったが、結局モンゴルから中央アジアの領域には、日本のD1b…

「日本人のDNA、縄文人から12%受け継ぐ」というニュースについて

これ、思いっきり今書いてる内容と関係するところがある。 論文もサプルメントもちゃんと読んで、しかもいくつか調べなきゃならないこともあった。 まあ、よくあることだが、ニュースは、書いた記者の主観が入ってて、元と違ってる。 プレスリリースも論文も…

分岐年代でわかるY染色体ハプログループC

Y染色体ハプログループCの、分岐図と、年代と、それぞれのいる場所 ここで参考にしたのは……(2016/8/5付け、ということにしておく。書いてるうちに更新されて困ったわ) ISOGGの表、およびこの真ん中あたりにある地理分布(Geographical distribution)と、少…

アメリカ大陸移住海岸ルート説

気になるニュースがあった。 これは、今してる話と無関係でもない。 元の論文。本体は有料だが画像は普通に見ることができる。 http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature19085.html これは、証拠として、過去の植生を調べたところが…

今後の予定の変更

話を進める順番を、予定と変えることにした。 もちろん、モンゴロイド仮説の検証をするという主題は変わらない。 ヨーロッパで、シベリア経由でアメリカ組に繋がる話をたくさんしたんだから、このままシベリア方面に進んでいこう。 これは、形の上では、モン…

西方遺跡データのY染色体ハプログループ2

今回も西方の遺跡データ。 再び主な目的を確認する。 もともとの目的はモンゴロイド仮説の検証だ。 昔の時点で西にモンゴルのC2(旧C3)系統(もしくはその先祖の段階)がいないとわかれば、彼らは西回りの北方ルートでモンゴルに到達したわけではないことが…

西方遺跡データのY染色体ハプログループ1

ここから順番に片付けていこう。(だいたいミトコンドリアの逆の順番がよさそうだ) 過去のある時点での状況がわかれば、現在の状況は、より後の時代に変化したものだ、とわかる。 まず、目的を確認しておこう。 昔の時点で、西に、モンゴルのC2(旧C3)系統…

ミトコンドリアで探る人類史 目次

こんな順序です。 もうデータ引用も書けたはず。 ここで日本のオマケ 最後に こんな感じ。 今後も何か書いたら付け足します。

ミトコンドリア編 とりあえずのまとめ

Y染色体の話に進みたいので、ミトコンドリアに一旦きりを付けておきます。 ただし個別の話題は継続します。モンゴロイド問題をまとめるのも、アメリカ組と日本の関係を考える場合でも、ミトコンドリアもY染色体も一度に両方触れたほうがいいでしょう。新しい…

ミトコンドリア 西方遺跡データ

古い時代のヨーロッパからシベリアのデータを固め打ちで。 以前、モンゴルにもオマケがあると言ってたものの一つでもある。 おおまかに地域別(中欧・南欧・東欧からシベリア・最後は紀元前2000年のシルクロード)になっていて、どこも狩猟採集時代(新石器…

ミトコンドリア編オマケ 極東N9bは日本が元で、しかもロシアの集団は新しかった?

ミトコンドリアハプログループNについての論文を読んでたら、語られてる内容と関係ない(論文本文で触れられない)が、日本人にとっては重要データがあった。 PLOS ONE: Carriers of Mitochondrial DNA Macrohaplogroup N Lineages Reached Australia aroun…

長江下流域の稲作証拠と御柱祭

片方は(どうやら再放送もあるよ。予定はしょっちゅう変わるけど) もう片方は(まずニュースサイト) こっちが論文 ニュースサイト目指してないが、御柱の話にも稲作の話が出てきて、ちょうど面白かった。 やっぱ関東は、東北以上に弥生文化の侵入を許さな…

ミトコンドリアで探る人類史 東南アジア編

ついに東南アジアだ。覚悟はいいか? いちいち説明する気が起きないほど大量のデータ。 でもグラフにしてみたら迫力があって面白かったから、でかいまま載せる。 (右にあるのは語族名の略称とサンプル数) インドを中心とした大量の基本系統M。 Rも豊富で…

ミトコンドリアで探る人類史 日本・モンゴルなどアジア極東から北方

いきなり行きます。色の対応は前回と同じこれ。(表にも直接書き込んだ) だいたい東から順番。場所は付属地図を参照のこと。 日本は表の真ん中あたり。 ★マークは遺跡人骨のデータ。アイヌ江戸は江戸時代のアイヌ、オホーツク文化は5世紀から13世紀の北海道…

ミトコンドリアで探る人類史

でかいタイトルで。 いや、日本人の歩みをたどるにも、モンゴル帝国を語るにも、結局は世界の人類史をたどらなきゃならんのです。 モンゴルが遺伝的にどうなのかとか、説明もしないで歴史を語っても繋がりがわからないわけで。 でもあまりツッコみすぎるとY…

予告 モンゴロイド学説との直接対決

「モンゴロイド」及び北方ルートの根拠喪失と、予想以上に重要だった東南アジア C2(旧C3)を片付ける前に、というより、Oなどもっとややこしい今後の問題を迎える前に、東南アジア(中国とインドの一部を含む)の最新の情報をしっかり調べておかなきゃ…

Y染色体で探る日本人の起源 3.日本人の構成

日本人のY染色体ハプログループ構成 まずはデータをお見せしよう。 wikipediaの日本人にあるデータをそのままコピーしても面白くないため、元の論文の確認をしたついでに、別の論文からのデータ追加というついで以上のことをして合算データを作成した。 既…

Y染色体で探る日本人の起源 4-2.氷河期が終わるまでにやってきた人々2 C1

謎多きY染色体ハプログループC 謎だらけでレジェンド的なC1 やはり日本固有だが登場年代のよくわからない、縄文時代初頭かも知れないがひょっとするとD1bより古いかも知れない、C1a1(旧表記C1)の子孫も日本の男の約5%いる。 しかし5%と言っ…

Y染色体で探る日本人の起源 0.プロローグと案内

*1 私たち日本人のY染色体――男だけが持ち、男の民族移動を反映する――の研究は、非常に興味深い事実をあぶり出した。 日本人は、他のアジア人と全く異なった、日本固有の独特のY染色体を持っていたのだ。 遙か昔から日本列島にいた縄文人は、滅んでなどいな…

Y染色体で探る日本人の起源 4-1.氷河期が終わるまでにやってきた人々1 D

後期旧石器時代から日本列島にいるY染色体ハプログループD 日本人の男の三分の一強の多数派が、縄文時代どころかそれ以前の後期旧石器時代から、おそらく35000年ほど前から日本列島にいたY染色体ハプログループD集団の子孫である。 各地のY染色体D1b…

Y染色体で探る日本人の起源 4-0.まずは時代の定義

時代の定義 旧石器時代と縄文時代と弥生時代、そして最終氷期 まず、なるべくシンプルに時代定義の話をしておこう。(脱線したくなることだらけだが) 最初は旧石器時代である。これは日本列島に人類が登場してから土器を使用し始めるまでの時代を指す。 日…

日本人のY染色体構成β

日本人のY染色体ハプログループ構成β ここは、元の論文へのリンクを貼れないような、あまり信頼度の高くないデータを扱うために作った別室。 もちろん元のデータも利用し、新たなデータを加算している。信頼できるデータが見たいならそちらへどうぞ。しかし…

Y染色体で探る日本人の起源 1.知識編

この謎解き物語の主役、Y染色体について 最初にY染色体は説明しておこう。 これはいわば、この謎解き物語の舞台説明である。 Y染色体は男だけが持つ染色体である。 そして子供のY染色体は、その父親のY染色体がコピーされた物だが、時には突然変異が起…

3万年前の航海 徹底再現プロジェクト

海部陽介さんの3万年前の航海 徹底再現プロジェクトが目標金額に達したそうです。 そういえばこれ、 kindleもあるのに気づいた。 『日本人はどこから来たのか?』(2016) すぐ近所に図書館があるため利用してるけど、そこでも予約がいっぱい。大人気です。 REA…

Y染色体で探る日本人の起源 2.世界のY染色体

Y染色体の分類ラベル・ハプログループ このY染色体の系統樹の分岐に従った分類には、アルファベットと数字を組み合わせたラベルが付けられており、これを遺伝学ではハプログループと呼ぶ。 このラベルは、頭のほうが一致していれば大きな分類が一致してい…