原の辻遺跡で国内初の遼東系銅釧(くしろ)(腕輪)が出土
関係あるかも知れないニュース。
なんと期待より少し古いお話。
長崎新聞ホームページ:【県内トピックス】原の辻で国内初の腕輪出土 (11月28日)
県埋蔵文化財センターは27日、壱岐市の国指定特別史跡「原の辻遺跡」で2007年度に発掘した青銅製品が、紀元1世紀ごろ(弥生時代中期から古墳時代前期)のものとみられる銅釧(くしろ)(腕輪)の一部だと判明したと発表した。
同センターによると、出土品は長さ約4センチ、幅約1センチ。中国の遼東郡と呼ばれていた地域のもので、13年に国の重要文化財に指定された。同地域の銅釧が国内で出土したのは初めて。
出土品が、遼東郡の羊草荘漢墓で報告された67点の銅釧と形状やサイズがほぼ一致したことなどから遼東系の銅釧と判明した。
今回の出土により、これまで中国系の文物は、楽浪郡と呼ばれていた地域を経由して日本に流入したと考えられてきたが、同種の銅釧は楽浪郡では出土しておらず、一支国(いきこく)(壱岐)と遼東郡との交流があったと想定でき、対外交流が活発だったことを物語るものとしている。
弥生集落から中国・遼東の腕輪 魏志倭人伝の「一支国」:朝日新聞デジタル
長崎県プレスリリース
原の辻遺跡で国内初の遼東系銅釧(くしろ)(腕輪)が出土したことが判明 | 長崎県
原の辻遺跡で平成19年度に発掘されていた青銅製品が、東アジア的な視点での研究の結果、紀元1世紀頃の遼東系銅釧であることが判明しましたので、お知らせします。なお、遼東系銅釧が出土したのは、国内で初めての事例となります。
鞍山羊草庄汉墓(これが中国表記)は遼寧省の遼東側、鞍山市立山区羊草庄村にある。
出土地は、「原の辻遺跡高元地区」
1.青銅製品の概要(図1)
- 調査主体・年度 壱岐市教育委員会平成19年度調査
- 大きさ 残存長4.169センチメートル、幅1.238センチメートル、端部での幅1.162センチメートル、厚さ2.52ミリメートル、残存重量3.741グラム
- 形状 外面には幅1.5ミリメートル程度の凹線が4条みられる。破片で出土(全体の形態は不明)
- 出土地 原の辻遺跡高元地区(現在、国指定特別史跡)遺物包含層(弥生時代中期から古墳時代前期にかけての遺物が含まれている層)(詳細な時期は不明)
- 国の重要文化財に指定(平成25年6月19日指定)
- 報告時の名称 「帯状円環形青銅製品」(壱岐市教育委員会『特別史跡原の辻遺跡』壱岐市文化財調査報告書第12集,2008年)
2.研究内容
- 2015年に中国で遼寧省鞍山市に所在する羊草荘漢墓についての発掘調査報告書が刊行される。(遼寧省文物考古研究所編『羊草荘漢墓』文物出版社,2015年)
- 羊草荘漢墓では67点の銅釧が報告されており(図3)、原の辻遺跡の青銅製品と比較したところ、形状・サイズがほぼ一致。羊草荘漢墓では、埋葬状態で確認されたことから、銅釧(腕輪)であると考えられている。原の辻遺跡出土品は遼東系銅釧であることが判明
- 羊草荘漢墓では、銅釧とともに出土した遺物(土器や貨幣)から王莽新・後漢初頃(紀元1世紀)という年代が特定される。原の辻遺跡出土品の年代は弥生時代後期前葉頃であると特定
- 当センター実施科学分析〈蛍光X線分析〉(図2)と中国側の分析結果の比較。銅―錫―鉛の青銅製品という点で原の辻遺跡と羊草荘漢墓例は定性的には一致
3.出土の意義
興味深い。