知識探偵クエビコ

人類史・古代史・神話の謎を探ったり、迷宮に迷い込んだり……

猿人はどこから「ヒト」なのか? (化石編後編)

今回はアウストラロピテクス以降。メインテーマは「猿人はどこからヒト属(Homo)なのか?」。

つまり――「ヒト属(Homo)の祖先はアウストラロピテクス以降のどれなのか」+「最初のヒト属はどれなのか」――が問題となる。

このヒト属こそが"human"の概念に関わるわけで、この先も「最初のヒト」表現は登場するわけだ。

今回は少しだけホモ・サピエンスの領域にまで入る話をします。

 

 

ヒト科(hominidae)以下の化石も含んだ分岐図(wikipediaより)はまた載せておく。

参考リンクも同じ
スミソニアン Human Evolution Timeline Interactive Human Family Tree Species
諏訪元 東京大学総合研究博物館(一番下に図がある)

ヒト科分岐図
 

知名度の高そうなアウストラロピテクス属(Australopithecus)は、図では略称A.になってる。

ところで、アウストラロピテクス属周辺の分類は、本当なら再編成が入らざるを得ない状況だ。

本来は属の下に同レベルの別の属が入ることはあり得ないんだから、アルディピテクス属の下にアウストラロピテクス属があって、さらにその下にヒト属が来てちゃいけない。

そしてさらにここでも、ヒト属(Homo)系統の祖先がどれか、このアウストラロピテクス属以下のどこから分岐するか、が重要になってくる。必然的にアウストラロピテクス属自体もそこで上下二段階に割れるわけだ。(既にアウストラロピテクス属の古い前半部分にPraeanthropus(つまりpre-anthropus)の名が提案されている)

そして結局は、分類段階が増え過ぎちゃうから「分類段階の定義そのもの」をどうかしなきゃ、という問題に発展するだろう。現在の定義では、ヒトの新しい分類段階を必要なだけ追加しようとすると段階が足りなくなってしまうのだから。(現在は、属の重なる事態を放置することで消極的だが現実的な解決策が取られている、とも言える)

 

骨は部分的だが個体数は多いアウストラロピテクス・アナメンシスAustralopithecus anamensis。これまたエチオピア・アファール。ケニアトゥルカナでも出てる)は、アウストラロピテクス属の中でも年代が古い。アファールのものは約420万年前と、近くで出たアルディピテクス・ラミダスから30万年ぐらい遅いだけだが別属別種なわけで、両者は系統的な繋がりもあるとされる。急な進化、だってさ。

アウストラロピテクス・アナメンシス

 

最初に出た猿人*1の全身骨格として超有名なルーシー全身骨格40%(20%とする概算も)、およびセラム(通称ルーシーの赤ちゃん/ディキカベイビー。貴重な幼児。全身骨格60%もまたエチオピア・アファールで出ていて、どちらもアウストラロピテクス・アファレンシス(Australopithecus afarensisそもそも地名アファールAfarを名の由来とするのがこの種)だ。

またアファレンシスはこの2体だけでなく、一度に13個体が出たこともあったり(サイト333)、サンプルには恵まれている。数が出てるため存在年代も幅があり、セラムが約330万年前、ルーシー約320万年前で、全体だと390-290万年前ぐらいに及ぶ。*2

ルーシー
ルーシー

セラム
セラム

地図が欲しくなってきた。黄色がアファレンシスで、南のケニアタンザニアでも出てる。

アフリカ猿人地図

 

この地図でぽつんと離れた、チャド(Koro-Toro)のアウストラロピテクス・バーレルガザリAustralopithecus bahrelghazali)。約360万年前)は、下顎の破片とそこについた歯しか出ておらず、アファレンシスと同種という説もある。出た場所はサヘラントロプスに近くて面白いが、証拠が少なすぎる。

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南アフリカリトルフット全身骨格90%は、アウストラロピテクスの中でもアフリカヌス(Australopithecus africanus)ではないかとされる。

リトルフット

なお、このアウストラロピテクス・アフリカヌスは、リトルフットだけでなくすべて南アフリカで出ているという地域性を持つ。南アフリカは独特だ。

 

ケニアントロプス・プラティオプス(Kenyanthropus platyops。これもケニア・トゥルカナ。約330万年前)は、同時代のアウストラロピテクスとは違うと主張されてる*3。同時に、ヒト属のホモ・ルドルフエンシスに似ているとも主張され、アウストラロピテクスでなくこの系統こそがヒト属Homoに繋がるという主張もある。(この主張がヒト科分岐図に描かれていたわけ)

実は次の記事の中で、石器を使った候補として名前が出てきてる。直接証拠がある訳じゃないが、場所と年代に注意。

ケニアントロプス

 

南アフリカ組のアウストラロピテクス・セディバAustralopithecus sediba)は以下の記事の主で、ずっと新しく約200万年前ぐらいの、こちらもヒト属(Homo)に繋がる別候補。道具を使用していた可能性もある。

ただし、ヒト属のホモ・ルドルフエンシスもホモ・ハビリスも同じぐらいの年代を予測されていることが問題。セディバは、ヒト属(Homo)と似ていても、たとえ近い系統であっても繋がらない、離れた地域の競争相手だったと考えられるわけだ。ただしこちらがヒトの祖先になる可能性も否定できないが。

2013年

2011年

セディバ

 

このときどちらにしろ、「ヒトの祖先には、ある程度は特徴の似た、系統の違うライバルがいた」、ということになる。WSJ(ウォールストリートジャーナル)の記事では、4種ないしそれ以上がいた、とされているのだ。いったいどの種がヒトの祖先になったやら。

 これらの奇妙な猿人は約200万年前に生息していた。科学者たちは、このころはヒトの進化の「るつぼ」とみられた時期で、4種ないしそれ以上の猿人がアフリカで必死に生き残ろうとしていたとみている。

ちなみにこんな2014年の記事もある。「多様な種から進化」というのは変な表現だが。

実力より運」なんて見出しがあったり。(一部省略。色は自分が付けた)

 論文によれば、当時存在した先行人類のホモ・ルドルフエンシス(ケニアにあるルドルフ湖(現在の名称はトゥルカナ湖)という湖にちなんでこの名がつけられた)とホモ・ハビリスラテン語で“器用な人”)は、頭蓋骨、歯、顎の形状がホモ・エレクトスと共通しているという。このことは、複数種の先行人類のあいだに“人類”固有の特徴が不意に出現したことを示唆している。

(中略)

アウストラロピテクス・セディバは約198万年前に存在した二足歩行種で、サルのような腕と小さな脳を持つ一方で、小さな歯といった人類固有の特徴も兼ね備えている。

 このような発見は、より大きな脳と、小さな歯、完全二足歩行といった人類固有の特徴の進化が250万~150万年前に多くの初期人類種のあいだで前進と後退を繰り返しながら進んだことを示すものだ、と論文は述べている。 

特徴が似ていても、同類・同種だとか祖先(同系統)とは限らない」というのは、既に議論されてることなのだ。

そしてこれが、ヒト属(Homo)定義の大きな問題ともなる。

まず、分類の話のときに書いたとおり――実はヒト属(Homo)の基準がヒトらしいヒトで、ヒトの基準としてヒトらしさ(“人類”固有の特徴=大きな脳・小さな歯・完全二足歩行など*4)をいろいろと追及している、どの程度なら良いのか明確な区切りも定かでない恣意的な定義*5――ということを思い出してもらいたい。

ヒトはなぜ人間に進化した? 12の仮説とその変遷 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト

ところが、ここで基準とする大きな脳・小さな歯・完全二足歩行なども、前進と後退を繰り返しながら存在する、多くの競合種に共通する特徴ではないか、というわけだ。

ということは、これらの要素は、環境への適応によって結果的に起こる収斂進化の要素なのだ。

するとこれら大きな脳・小さな歯・完全二足歩行ですら、同じような環境に適応する多くの種にある程度まで共通する、必ずしもヒトの祖先を識別するための決め手にはなってくれない要素ではないのか?

さあ、いったいどうやってヒト属(Homo)を識別すればいい?

AM I A MAN
詩「monkeyana」(1861)フルバージョン

なお、特徴が似てるというだけでは許されず、ヒトの祖先の近縁種かどうかもヒト属(Homo)の判断基準には入っている(はずだ)。つまり、進化の連続性を考えてヒトの祖先の近縁種でありそうだと合意が通る種を、ヒト属(Homo)としてるわけだ。

しかし、ある程度特徴の似た競合種がいるとき、これは危なっかしい。進化は巡り合わせの偶然要素が強くあって、遅れてきた種があるとき急に進化したり、災害や疫病や争いで他の種が滅ぶ中で目立たなかったダークホースが生き残ったり、逆転してヒトの祖先となる可能性だってあるんだから。

いやむしろ――状況が大きく変わったとき、それまで生存戦略が多少異なっていたからこそ有利になる――という局面は充分にあり得るのだ。そしてさらにその後で、適応放散によって生態的地位を取って替わり、結果的によりヒトに似た形態に進化する*6ことだってあり得る。環境の変化は逆転のチャンスなのだ。

たとえば脳の大きさは、それだけではエネルギー消費も大きい邪魔な荷物だったりするわけで、見合った利点がなければ、むしろ不利な要素として働くわけだ。

ある時点までのトップランナーが最後までトップを走り続けられるとは限らない。だからこそ、前進と後退を繰り返しながら進化することにもなるわけだ。

特徴が似ていても、同類・同種だとか祖先(同系統)とは限らない」わけである。

 

ところでこのとき、ヒト属(Homo)の一つ上のメジャーな分類段階*7として、「遡ると共通祖先がいて、ヒト属と似た身体的特徴を持つに至った別属を含む分類」、という別の分類段階(見た目の定義は似ているが、条件はずっと緩くなる)があり得ることにもなる。これは、競合していたレベルに一つの分類段階を与えるというメリットも持つ。 この境目は実際にはアルディピテクスとアウストラロピテクスの間か。

さらに、競合を決定的に抜け出した下位レベル(条件は今より厳しい)に分類位置をずらすこともあり得る。これは実際には、ヒト属定義の境目で疑念のある種のいくつかを取り除くことを意味している。そもそも、今ヒト属とされる種が実際にはヒトの祖先と近い繋がりがないとわかったら、どれだけヒトに似た特徴を持っていても別系統であり、その分類は変わるのだ。

ただし実際には、分類判断の決着不能な領域の残る現実を踏まえた分類をする必要がある。二つの段階のどちらか判断の付かない領域が無視できないほどしっかりとあって、二段階でまとまりが悪い場合、間に第三の「判断不能の領域」を追加することを検討する、というのは現実的かつ合理的な分類の基本的な知恵だろう。 

 

まあこんな事を気軽に言えるのも、ティム・ホワイト先生が「アルディの発見で、人類の進化を3段階に分けて考えられるようになった」と言って、アルディピテクスとアウストラロピテクスの間に線を引いてたりするからなんですよ。*8

第1段階を代表するのは、アルディピテクス。過去に片足を残して未来に一歩踏み出した、原始的な直立二足歩行の段階だ。男性の犬歯はすでに小さくなり、形が“女性化”しているが、住む場所はまだ森に限られている。

第2段階は、200万年以上続いたアウストラロピテクスの時代だ。脳はまだ小さいが、完全な直立二足歩行で、森以外にも住んでいた。大地溝帯から西や南へ2500キロ以上も離れた地域まで進出して、実に長い年月にわたって栄えた

残りの第3段階目はホモ属(ヒト属)だと、次のページにある。

同じことは、アウストラロピテクスから、第3の段階であるホモ属への移行についても言える。高カロリーの食料を確保できるようになると、たっぷりと栄養を得て脳がますます大きくなる。こうして、ダカ、ボド、ヘルト遺跡の時代を経て、ついには現代の私たちに至った。

 

というわけで、ヒト属(Homo)側の種を境目から片付けていこう。

まず、分類がまだ決まってない約280万年前の化石LD 350-1エチオピア・アファールのLedi-Geraru*12。2013年発掘で次の記事は2015年)があり、これが現時点で最古のヒト属(Homo)かもしれないらしい。(記事中には「ホモ・ハビリス(ハビリス原人)またはそのタイプ種に属する」とある。もちろんまだ分類を断言できるわけではないが)

 

次は、既に名前も記事説明も出てる競合種で、約200万年前のホモ・ルドルフエンシス(Homo rudolfensisケニア・トゥルカナ)だ。

ルドルフエンシス(KNM-ER 1470)

次のAFPの共存記事(2012)の画像は、同じルドルフエンシス(KNM-ER 1470)と下顎(KNM-ER 60000)を基に復元された姿だ。

なお、「共存」というのは、3種(ヒト属だけで南アフリカのセディバは抜ける)が「異なる食物を食べていたとみている」からのようだ。

 

同じAFPの記事で、ルドルフエンシス近縁種で道具を作るとされているのが、240万年前から140万年の幅広い年代で存在したとされるホモ・ハビリスHomo habilisタンザニア・オルドヴァイ渓谷やケニア・トゥルカナ*13)だ。

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AFPの記事で残る、現生人類の祖先ともされていた「ホモ・エレクトスHomo erectus)」は、昔より細かく分類する考えがある。

約160万年前の全身骨格トゥルカナ・ボーイ(Turkana Boy)は、その初期の部分を細く分類されたホモ・エルガステルHomo ergaster。190万-140万年前)に当たる。 

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もう一つ近い時代(約180万年前)の近縁種を挙げておこう。アフリカの外、コーカサス山脈の南側・グルジアのドマニシ遺跡から出たホモ・ゲオルギクスHomo georgicus*14)、別名ドマニシ原人だ。

特集:アジアに来た原人 2005年4月号 ナショナルジオグラフィック NATIONAL GEOGRAPHIC.JP

このドマニシ原人はかなりの個体差があり、しかしそれらすべてが同一種だと考えられる*15ことから、こんな記事(2013年)が出てる。

 だが今回ロードキパニジェ氏らがまとめた論文では、別の可能性が示されている。ドマニシ原人はホモ・エレクトスと同系統に属しており、これまでホモ・エレクトスとは別種であると考えられてきたさまざまな初期人類も、すべてこの同じ系統に含まれるというのだ。

 ロードキパニジェ氏らはこの単一の系統をたどれば、240万年前に東アフリカで発生したホモ・ハビリスという最初期のヒト属に行き着くものと考えている。つまり、これまでさまざまにグループ分けされていた初期人類は、すべて単一の種であり、ホモ・ハビリスもドマニシ原人も、時代が下ってホモ・エレクトスも、すべてつながっているということになる。

つまり、ここまでに紹介したホモ・ハビリスホモ・エレクトス+ホモ・エルガステルもこのドマニシ原人も、すべてが同じ単一種であり、違いが大きいように見えても充分に個体差の範囲だというのだ。

ただし記事には学者の批判も書かれている。この論文は頭蓋骨にしか注目していないのが問題だという。「頭蓋骨の複雑な構造や、血管を通す孔の大きさなどといった、解剖学的に明白な特徴が見落とされている」「体のほかの部分の骨にも、種を区別するのに十分な明白な特徴がある」というのだ。(まず基本として、要素を絞ったら部分的に似てる可能性が高くなるのは当たり前)

とはいえ、どんな種にも必ず個性の要素はあるし、その個性に広い幅のある可能性も充分にある少ないサンプルでは個性の要素がわからない、という考古学の宿命的問題がここに現れる。

また同じ種の中でも、適応により形態の変化していく場合がある。(適者生存だ)

そしてこれも結局の所、単純な形態比較だけじゃ分類は難しいという話になる。

なるべく多くの要素を並べて比較し、適応による変化を考え、さらに個性まで計算に入れて、やっと種や系統を識別できるわけだ。

しかし、遺伝子解析の出来るような奇跡の骨が出ない限り、結局本当の最終的決着はつかないところで。

 

このへんから、ホワイト先生も挙げるヒト属の細かい分類に入る。種だけまたリストしよう。

このあたりまで来ると「最初のヒト」表現はほぼ出なくなり、「最初のホモ・サピエンス」「現生人類」とか限定された表現になってくる。

 

しかしここで、南アフリカ組のホモ・ナレディ(Homo naledi)にも触れておきたい。

BBCは日本語の映像解説あり。

何かと独自路線の南アフリカ組であり、「現代的な特徴と原始的な特徴」を併せ持つ、というのがこのナレディの注目点だ。

ただし年代測定したところ「33万5000~23万6000年前の間」と意外に新しかった、というのが次の記事。

古いのではないかという最初の期待は外れたが、逆に予想外に新しいことで別の疑問が出てきたようだ。

ナショナルジオグラフィックの記事の最後のほうにこんな文章があったり。

 しかしいまだに、ホモ・ナレディが系統樹のどの位置に加えられるべきなのかはわかっていない。ほとんどの研究者は、ホモ・サピエンスの直接の祖先は180万年前に出現したホモ・エレクトスであるという点で同意している。しかし、バーガー氏の分析では、骨の年代が比較的新しいという点はともかく、その形態から見ればホモ・ナレディのほうが人間の祖先候補として適しているのではないかとも考えられる。

 バーガー氏のチームはさらに、もしホモ・ナレディと現生人類が同じ時代に生きていたとしたら、南アフリカ各地で見つかっている当時の石器は、人間が作ったものではない可能性があるとも主張している。「石器を作るという行為は、知能の高い現生人類の証拠と考えられてきましたが、この地域から最も多く見つかっているヒト属の化石は、ホモ・ナレディのものです」と、ホークス氏は指摘した。

 バーガー氏も、「道具を作っていたといえば、すぐに人間だと決めつけてしまいがちですが、ならば科学のルールに則って、証拠を見せてほしいと言いたいですね」と話す。

これ、あり得ると思いますか?

この南アフリカ組は、アフリカの中でも離れていることが面白い。ここでは独自の進化もあり得るわけだ。

そして、離れているが故に環境変化も異なっており、もしもある時点で東アフリカ組が危機に陥ったとしたら、南アフリカ組にも拡大のチャンスは訪れるわけだ。

 

もうちょっとおまけ。 (どこか公式的なところで、ホモ・サピエンスの範囲問題ないかなと思ってた)

実はNCBIアメリカ国立生物工学情報センター)のサイトで、ちゃんとお断りは付いてるが、ネアンデルタール人やデニソワ人がホモ・サピエンス扱い(Homo sapiens neanderthalensis、Homo sapiens ssp. Denisova)されてた。(2017/6/24確認

 

さらに気づいたが、ここにハイデルベルゲンシスまで遺伝データが出てる。ネアンデルタールとデニソワの共通祖先ともされるのが、このハイデルベルゲンシス)

ホモ分岐図

調べてみると、これはスペイン・アタプエルカSima de los Huesosのものだろう。この43万年前というのが一番古いDNA証拠だそうで。

(ちなみにハイデルベルゲンシス(ローデシエンシス)にも、南アフリカホモ・サピエンスと異種交配したのでは、という説があるそう)

ホモ・ナレディの記事にも遺伝子採取にチャレンジして失敗した話は書いてあった。

どうも、このあたりの年代までは、遺伝学で決着の付く可能性があることを期待していいらしい。

*1:ピテカントロプス(pithecanthropus)という表現があったが、これは言葉として「猿人」(pithecus+anthropus)にあたっていた。

*2:こういう場合、本当に最初から最後まで同一種なのかも問題になる。

*3:だから名前も特別でヒト主張anthropusも入ってる。(こういうのは仮名で、正式にヒトと判断されたらむしろヒト属(Homo)と認定されるはず。そうでなく新属とされる場合、アウストラロピテクスと同時代なんだからこちらもpithecus選択(Kenyapithecus)でしょう)

*4:他に、道具の使用・言語など、骨からは識別しにくそうだが重要な基準だと考えられる要素がある。

*5:ここにはどうしても、人類(human)すべての「humanの定義」に対するこだわりとエゴや考えの違いが詰まってる。

*6:勘違いしやすい「適者生存」だが、実際には変わり続ける環境にこそ適応する必要がある。特定の環境に過剰適応すると、環境が変化したときその適応状態が一気に不利に転じる場合もあるわけだ。生物学だけでなく、経済だとか社会でも良くある話ですわ。

*7:もちろん、細かい分類段階はいくらでもあり得る。

*8:今回の記事をこの位置で切り分けたのも、この分割を意識してた。

*9:ホワイト先生に限らず、諏訪研究室の図でもこれと同じ区切りが感じられる。

*10:前半部をホモ・エルガステルとして分割しない場合。

*11:ホモ・サピエンスの範囲問題はあるが。

*12:正式名称にたぶんこの地名あたりを使う。

*13:化石の頭文字OHがオルドヴァイ(Olduvai Hominid。どうやら古い意味のHominid)、KNMがケニア(KenyaのNational MuseumにER(East Rudolf)とか地名略称が付いてる、とwiki(Koobi Fora)にあった)。

*14:英語版はホモ・エレクトスと同系統下位分類、という解釈ゆえの項目になってる。

*15:他の種の混ざってる可能性を完全否定できないが、状況証拠が同一種を示唆する。